2011年10月18日火曜日

光速を越えるニュートリノ測定、原因は相対性理論の入れ忘れ?

CERNの実験で、光速を越えるニュートリノが測定されたということが話題になりました。
ニュースなどでは、従来の理論を塗り替えるのではないかという期待とともに、大きく報道されました。ただし専門家の間では、この測定結果をまともにとらえる人は少なく、むしろ実験のどこに間違いがあるのかを探すのに躍起になっているとも聞きます。

最近海外のウェブサイト(Speedy neutrino mystery likely solved, relativity safe after all)などを見ると、実験の間違いがどのようにして起こったのか分かったかも知れないと書かれています。

ただし公式見解ではないので、今のところ確証はないものだと思ってください。ぼく自身もこれに関する専門知識はありません。

それらの記事によると、間違いの原因はニュートリノ発射の始点と終点の時間を計る衛星のGPSが関係しているようです。
衛星と地球は共に動いているので、相対性理論によって異なる時間軸で動いていることになります。しかしそれを計算に入れないで時間を計ってしまったために、地上と衛星で時間がずれて、ニュートリノがたどり着く時間が実際より速く見えてしまったということです。

CERNの実験データではニュートリノが光よりも60ナノ秒早く測定されたことが問題となりましたが、相対性理論の影響によって、始点と終点で32ナノ秒ずつ早く見えてしまい、合計64ナノ秒ずれてしまうことになります。これを加味すれば、60ナノ秒早く測定されたことの説明がつくということらしい。

この記事が正しいとすると、時間の計算が間違っていたためにニュートリノが光より速いというデータが出てしまったという結論になります。
しかし疑問なのは、世界中の科学者が集まるCERNで、そのような間違いが見落とされるものかどうかです。CERNのチームとすれば、自分たちには間違いの原因が分からないから外部の人に協力を頼むというのは大変な不名誉のはずで、その前に徹底的に原因を洗い出しているだろうと思います。だから間違いの原因はデータ処理ではなく、実験装置や装置を動かす技術者のような、もっと制御が難しい微妙なものだと思っていました。
なので、この記事が事実だとしたら、なぜこのような見過ごしが起きたのか、実験チームに組織的な問題があるのかどうかが気になります。

また、もしCERNの実験結果が正しかった場合どうなるのかも気になります。
将来にわたって組織や装置を変えて何度も実験を繰り返しても、ニュートリノが光速より速いという結果が出た場合、物理学者たちはその結果を受け入れるのでしょうか。
ミリカンの電荷の測定なども、実際には不備があったことが明らかになっていますが、当時は受け入れられたといいます。
新しいパラダイムが受け入れられるにはどれくらいの証拠が必要で、どれくらいの不備ならば許されるのか。このCERNの問題を通して、これに関して何か得られればうれしいのですが。

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