2012年11月14日水曜日

ハープ状の肉食深海生物が発見された。


・カルフォルニアの深海に転々とたたずむハープ、もしくはニューヨークのブルックリン橋を思い起こすような生き物。
この海綿動物の名は Chondrocladia lyra と言い、他の近縁と違って、フィルターで小さな静物を濾し取るというよりは、棒の部分のかぎ爪やトゲで小さな甲殻類を引っかけてから消化するのが特徴だという。

ハープのような形は生物によくあるように表面積を最大にするためだと考えられているという。表面積最大化といっても肺胞や毛髪のようにいろいろな形がありうるが、このハープは毛髪ほどには枝が多くない。
これは深海という栄養が少ない環境ではそこまでの表面積は必要ないということなのだろうか。それとも消化器官や生殖器と一体化しているので、太くならざるを得ないのか。

ハープの下には植物の根のようなものがあり、これで体を支えているのだろう。

・その生殖のかたちもおもしろい。長い棒の上には小さな球が付いているが、ここで精子が作られ蓄えられている。
棒の中間ほどにあるふくらみの部分には卵がある。しかしこの卵がどのように排出されるのか、またどのように新しい個体が発生するのかといったことは調べてみても分からなかった。
これからの研究によるのかもしれない。
しかし全体の形を見ると、中央が大きく端に行くほど小さくなっているので、真ん中部分から徐々に広がっていくように成長するようにも思える。

生態系の中でどのような位置づけなのかも気になる。小さな動物を食べるこの生き物も、他の生物に食べられるのだろうか。
ちなみに深海の水はとても冷たいのでDNAが分解される前に抽出することができるという(Bizarre New Deep-Sea Creatures Found Off Antarctica)。その意味では月より遠いと言える深海にも研究上の有利な部分がありそう。



・このような珍しい海綿動物が近年たくさん発見されているという。左の大きな玉を持つ生き物も最近発見された 
Chondrocladia lampadiglobus という海綿動物(Scientists describe extroardinary new carnivorous sponge

ところで海綿動物は英語でspongeと呼ばれる通り、元来はスポンジとして利用されてきたという。 ハープ状のスポンジはもしかして結構便利かもしれない。

source:New deep sea carnivorous harp sponge is unlike anything ever seen,
Scientists describe extroardinary new carnivorous sponge