2011年9月28日水曜日

Nature読み:日光の届かない洞窟魚も生物時計を持つらしい。

人間を含む動物の多くは、体内に生物時計というメカニズムを持っている。これは主に日光などの光に反応して、行動・代謝などの周期的なコントロールを行うものである。
人間の場合24時間より少し大きい周期で回っており、室内にずっといたりするとだんだん周期がずれていったりするらしい。

一方深海という環境では、日光の届かない暗闇の中に生きる生き物たちがいる。
何百年もの間深海に隔離されることで、深海の環境に適応した魚などもいる。

ソマリアの洞窟に住む魚 Phreatichthys andruzzii は、140万年から260万年の間暗闇の中に隔離され、進化してきた。暗闇なので、すでに目が退化している。

こういった日光のない環境では、周期的な環境の変化というもの自体があるのかという疑問を持ってしまう。
しかしこの洞窟魚は、日光への周期反応を退化させながらも、違った周期反応のメカニズムを持つらしい。
NatureニュースやPLoS Biologyによると、日光周期性の遺伝子を持つゼブラフィッシュとの比較によると、この洞窟魚は、光には反応しないが、エサを与える周期に反応して47時間周期で働く生物時計の遺伝子が活性化するらしい。遺伝子を調べたところ生物時計の遺伝子には変異がなく、メラノプシンとTMT-オプシンという光受容体の遺伝子側に変異があった。
次にこれら2つのゼブラフィッシュの光受容体遺伝子を洞窟魚に組み込んだところ、その細胞は光の周期に反応した。
つまりこの洞窟魚は日光ではなくエサの周期に反応する生物時計を持っていることと、日光反応の生物時計には上の2つの遺伝子が重要だと分かる。

しかし、洞窟魚が持つエサからの周期性がどのような機能を持っているか、なぜ47時間周期なのかといったことはまだよく分かっていないようです。

Cave-Dwelling Fish Provide Clues to the Circadian Cycle
Nature Volume 477 Number 7364 pp249-364

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