(1996/03) カール・シグムンド |
最近、カール・シグムンド (著)『数学でみた生命と進化』の古本を買って読んだ。1996年に初版が出たらしく古い内容だけど、それゆえにこの時期の進化学がどうなっていたか分かる。特にコンピュータを使ったシミュレーションは現在から見るとかなり初歩的に見える。
この本では生命のシミュレーションとして、コンウェイの「ライフゲーム」が紹介されていた。これはまだパーソナルコンピュータもそこまで普及していない時代で、仕事そっちのけでエンジニアやオフィスワーカーがハマっていたというゲーム。ルールは、白いセルの周辺に3つの黒いセルがあるとそのセルも黒くなり、黒くなったセルは周辺に2つか3つの黒いセルがあると黒いまま、それ以外だとふたたび白に戻る。
メカニズムは単純だけども、複雑系の要素としての正のフィードバックと負のフィードバックの相互作用によってどんどんドットの形が変化する。初期状態のほんの少しの変化が結果に大きく影響を及ぼすという意味でカオスでもある。実際にやってみると、単に直線を描いただけでも、結果としてとても複雑な動きや幾何学模様などが見えてくる。さらに左右非対称にしてみるとさらに複雑さが増す。
その動きは確かに生命に見えなくもないが、の記事で取り上げた空間経済学のビジュアル版にも見える。ただしクルーグマンの言う都市集積は、あまり初期条件に依存しないでどのように初めても同じような形状に収束していったけど。
によると、このライフゲームでも動きが変化しながらも周期的に同じ形を繰り返す形が発見されている。特に周期が3ステップ以上で複雑な形では以下のものがある。
パルサー | 八角形 | 銀河 | ペンタデカストロン |
いずれにしても暇つぶしにもなるし、見ていて飽きないこのゲーム。個人的には少ないブロック数を少しずつ変えていってどう結果が変化するのかを見るのがおもしろい。
そのままスタートするとグライダー銃となります。いったんクリアを押して自分でいろんな形を作りスタートを押すと、それが動き出します。