それでもこの映画には製作当初の名残が点々と残っている。車を襲うティラノサウルスはほとんどの場面でCGではなくてアニマトロニクスが使われていた。
しかし、今回初めてStan Winston School of Character Artsで公開されたジュラシックパーク製作過程のビデオを見て驚いた。映画の中のある特定の場面では、CGでもアニマトロニクスでもなくヴェロキラプトルの着ぐるみの中に人が入って演技していたのだ。ということは、実はジュラシックパークはゴジラと同じ領域でもチャレンジしていたということになる。そのビデオがそれだ。
中はこんな感じ。人がヴェロキラプトルの首から下にすっぽりと入り込んで、足だけ出している。ラプトルの頭部と人の肩がつながっているのは、首を操作するためかもしれない。
でもこんな体勢で恐竜になりきるには、絶対にしんどいに決まってる。実際この中に入って恐竜の演技をしていたStan Winston Studioのスーパーバイザー、John Rosengrantは、何週間もの練習で腰に来ていたようだ。
最初はこうやってゴミ袋テスト(Garbage Bag Test)と呼ばれるごく簡単な発泡体で作ったものを被って感じをつかみつつ恐竜の演技練習もしていた。これくらいなら恐竜コスプレとして作れそうだが、なんともみすぼらしい姿のラプトル。ちなみに恐竜のあの独特体勢はスキーの時の姿勢を参考にしたらしい。
それでも楽しそうに動き回っていたづらを仕掛けるラプトルが見れる。
最終的にはこんなにリアルになってしまう、スタンウィントンスタジオの実力。歩くときに首が鳥のようにヘコヘコ動いたり、かみつくこともできるようになった。映画でも印象的なヴェロキラプトルのどう猛目つきもしっかりとある。
着ぐるみラプトルが活躍した実際のシーンはここ。キッチンに逃げ込む子どもたちを探してドアを開け、伸び上がりながら甲高く咆哮するシーン。実際の出番は15秒ほどだったらしいけども、着ぐるみの中にはRosengrantが入って演技をしている。
ゴジラをはじめとする日本の怪獣映画のお家芸である着ぐるみ。そこにジュラシックパークがリアルなCGを駆使して追い抜いたと思っていた。しかしこうなってくると、ジュラシックパークはCG映画の先駆けというだけにとどまらず、着ぐるみでの特殊メイクという意味でもチャレンジをしていたことが分かる。
今後ハリウッドで予定されている新しいゴジラのリメイクにも期待しているが、できることならハリウッドが総力を挙げて、CGよりむしろ着ぐるみでどこまですごいゴジラが作れるかチャレンジしてくれたら最高だが。
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