2011年10月21日金曜日

温暖化の効用?北極の氷が溶けてうれしい人たち

地球温暖化によって地表面の5パーセントを占める北極の氷が溶けているらしい。1979年から始まった衛星による観測によると、9月時点で測った氷の広がり方が10年ごとに12パーセント減ってきているということです。北極の氷が溶けるというと連想するのは、氷の上に取り残されたホッキョクグマだと思います。だから温暖化は良くないと言いたくなります。
しかし違う見方をすると、温暖化によって北極の海が開けてきているともいえます。

北極領有
他の大陸と違って北極の氷が増減すると、それに従って領有権の範囲も変わるようです。上の図の濃い色の部分は従来の排他的経済地域で、海岸線から370キロメートルの部分です。薄い色の部分はこれからそうなるかもしれない排他的経済地域です。各国の持つ地域が現在よりも広がっていて、ロシアに至っては北極点までの権利を主張しているようです。
・現在、北極の氷は人間にとって大きな障壁になっています。大きな流氷があることで船が通れなかったり、氷に阻まれて海底資源の採掘が難しくなっています。
北極の氷が溶けることで、北極を介した新たな航路ができるかもしれません。実際に2008年には有史以来初めて北極の航路を阻んでいた氷がなくなったらしい。それに伴ってアメリカとカナダでも航路をめぐって小競り合いが起こっているとのこと。

北極海底資源
・さらに氷が溶けることで、その海底などに眠っている炭水化合物などの資源が採掘できるようになるかもしれません。各国もそれを狙って動いているようです。
資源消費→温暖化という流れはよく聞きますが、温暖化→新たな資源ということもありうるということでしょうか。

・こういったことから、各国の争いが激化しそうです。しかしそれは他の場所で資源や航路が発見されても同じ事だと思います。なので、これは温暖化による良い効用の一面と言っていいかもしれません。
温暖化の是非を評価するのには、こういった良くなることと、悪くなることを比較しないといけません。これはその比較のための材料となりうると思います。

参考ウェブサイト:Redrawing the Arctic map: The new north

感染性ガンで絶滅の危機、タスマニアデビルを救えるか。

タスマニア島に生息するその名もタスマニアデビルは、現在感染性ガンが広まっていて、今のままだと25年以内に絶滅の可能性もあるようです。このガンの症状を、Devil Facial Tumour Disease (DFTD)といいます。
ガンは通常、自分の細胞が変異して自己の個体を死に至らしめたりはしますが、これが他の個体にまで感染してしまうというのは驚きです。
なぜこのような病気が広まってしまったかというと、タスマニアデビルは遺伝子の多様性が低く、互いに噛み合う習性があるので、噛み合ったときにガンが他の個体へ移ってしまうからです。

タスマニアデビル

そのため、現在タスマニアデビルの絶滅を防ごうという努力がなされています。
2004年から2010年まで、ガンに犯された個体を捕まえて隔離する方法がとられていました。
しかし、数学的なモデルで検証してみたところ、ガンの個体を96パーセント以上隔離しなければ感染の流行を抑えられないことが分かりました。
これは現実的には無理な数字のようです。しかもこれらの方法は1年に200,000ドル以上かかっているとのこと。

したがって代替案として、隔離だけでなく繁殖させるという方法がとられています。まだガンに犯されていない個体を隔離したり、ガン耐性個体の遺伝子やメカニズムを解明して、その知識を利用する、あるいは北西タスマニアにいるような遺伝的に少し異なる個体を持ってきて、それらを掛け合わせて繁殖させようというものです。
現在までに490以上の未感染のタスマニアデビルがブリーディングされているそうです。

しかし本当に感染性ガンでタスマニアデビルは絶滅することがあるのでしょうか。
ウイルスなどと同じように、あまり致死率が高いと感染先が徐々に少なくなってきて、毒性が弱まったり耐性個体が生き残ったりして事態は収束することになるように思えます。
また、遺伝的に似た個体が死んでいくということは、逆に言うと遺伝的に違う個体は生き残って数を増やすということです。これはボトルネック効果などで多様性が少なくなった集団が、遺伝的多様性のある集団になる過程のひとつなのかもしれません。
もちろんあまり個体が少なくなると環境の変動に弱くなるので、絶滅する可能性も高まる危険があることに変わりないでしょうが。

さらに、タスマニアデビルが互いに遺伝的に近くて細胞を個体から個体へ広げられるというのは、見方によっては良い作用に働くこともありうるかもしれないと思いました。感染性ガン細胞が変異して、集団にとって有利な細胞が広まるということはありうるのでしょうか。

参考ウェブサイト:Saving the Tasmanian devil: if not by selective culling, then how?(by Nick Beeton,Hamish McCallum) Cull 'cannot save' Tasmanian devil(BBC)

2011年10月18日火曜日

光速を越えるニュートリノ測定、原因は相対性理論の入れ忘れ?

CERNの実験で、光速を越えるニュートリノが測定されたということが話題になりました。
ニュースなどでは、従来の理論を塗り替えるのではないかという期待とともに、大きく報道されました。ただし専門家の間では、この測定結果をまともにとらえる人は少なく、むしろ実験のどこに間違いがあるのかを探すのに躍起になっているとも聞きます。

最近海外のウェブサイト(Speedy neutrino mystery likely solved, relativity safe after all)などを見ると、実験の間違いがどのようにして起こったのか分かったかも知れないと書かれています。

ただし公式見解ではないので、今のところ確証はないものだと思ってください。ぼく自身もこれに関する専門知識はありません。

それらの記事によると、間違いの原因はニュートリノ発射の始点と終点の時間を計る衛星のGPSが関係しているようです。
衛星と地球は共に動いているので、相対性理論によって異なる時間軸で動いていることになります。しかしそれを計算に入れないで時間を計ってしまったために、地上と衛星で時間がずれて、ニュートリノがたどり着く時間が実際より速く見えてしまったということです。

CERNの実験データではニュートリノが光よりも60ナノ秒早く測定されたことが問題となりましたが、相対性理論の影響によって、始点と終点で32ナノ秒ずつ早く見えてしまい、合計64ナノ秒ずれてしまうことになります。これを加味すれば、60ナノ秒早く測定されたことの説明がつくということらしい。

この記事が正しいとすると、時間の計算が間違っていたためにニュートリノが光より速いというデータが出てしまったという結論になります。
しかし疑問なのは、世界中の科学者が集まるCERNで、そのような間違いが見落とされるものかどうかです。CERNのチームとすれば、自分たちには間違いの原因が分からないから外部の人に協力を頼むというのは大変な不名誉のはずで、その前に徹底的に原因を洗い出しているだろうと思います。だから間違いの原因はデータ処理ではなく、実験装置や装置を動かす技術者のような、もっと制御が難しい微妙なものだと思っていました。
なので、この記事が事実だとしたら、なぜこのような見過ごしが起きたのか、実験チームに組織的な問題があるのかどうかが気になります。

また、もしCERNの実験結果が正しかった場合どうなるのかも気になります。
将来にわたって組織や装置を変えて何度も実験を繰り返しても、ニュートリノが光速より速いという結果が出た場合、物理学者たちはその結果を受け入れるのでしょうか。
ミリカンの電荷の測定なども、実際には不備があったことが明らかになっていますが、当時は受け入れられたといいます。
新しいパラダイムが受け入れられるにはどれくらいの証拠が必要で、どれくらいの不備ならば許されるのか。このCERNの問題を通して、これに関して何か得られればうれしいのですが。

2011年10月17日月曜日

「生物時計はなぜリズムを刻むのか」レオン・クライツマン(著) の感想


生物時計はなぜリズムを刻むのか生物時計はなぜリズムを刻むのか
(2006/01/11)
レオン・クライツマン、本間 徳子 他

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生物時計について、現在考えられているメカニズムやその多様性、さらに医療への応用を概観した本。
特におもしろいのが生物時計の研究史で、実際の実験がどのように進み、生物時計への理解がいかに変わっていったかが図と共に叙述されている。

現在までの研究によると、生物時計はシアノバクテリアから人間まで生物の中でかなり普遍的なものらしい。

たとえばごく下等な生き物であるバクテリアにとって時計はどういう意味があるか。
たとえばバクテリアが窒素固定と炭素固定のような、一方がもう一方を抑制するような反応を行う場合、反応を時間的にずらすために使われているという説や、過去の地球において紫外線から身をまもるために必要だったという説がある。
人間や鳥のような動物では、脳の中のSCN(視交叉上核)が生物時計にとって重要であることが分かった。これを切除すると行動のリズムが取れなくなったりする。さらにSCN単体を移植するとリズムが回復したりもする。

生物時計はリズムを刻むだけでなく、光が当たることで時計を1に戻し、地球の周期に対応している。
光を感じるのは通常目だが、人間では錐体、桿体以外に、生物時計用の光を感じる細胞が目に存在することが分かった。
鳥などでは、脳に光が透けて、脳の一部が直接光を感じたりする。

さらにDNAレベルでも生物時計は確認されている。
たとえば名古屋大学の近藤孝男さんは、シアノバクテリアの3つの時計タンパク質を試験管で再現し、実際に時計として働かせることができたらしい(http://www.brh.co.jp/s_library/j_site/scientistweb/no55/index.html)。

ぼくとしては、生物時計というものの存在意義や、どのような生態の中で進化を遂げたかに興味を持ってこの本を読んだ。

現在までのところ、ほとんどの生物時計は光によってリセットされ、24時間や半年、1年など、太陽の周期というものが主な周期の要因らしい。
それ以外に生態の中で周期的なものはないのか。またそういった周期に合わせる生物時計はないのかが気になる。

たとえば食う食われるの関係の中で、周期的な同期というのはありそうな気がする。
食われる側は、同期からはずれようとし、食う側は逆に同期しようとするように思えるが、生物同士の関係を通した同期というものが、どのようになっているかはこの本では分からなかった。

関連過去ログ:日光の届かない洞窟魚も生物時計を持つらしい。

2011年10月16日日曜日

~現代経済学者の弁明~「ソウルフルな経済学」ダイアン・コイル著


ソウルフルな経済学―格闘する最新経済学が1冊でわかるソウルフルな経済学―格闘する最新経済学が1冊でわかる
(2008/12/05)
ダイアン・コイル

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2007年のサブプライムローン問題からリーマンショックまで、それが起こることをまったく予期していなかった経済学と経済学者には毀誉褒貶が向けられた。

今回の件だけでなく、過去に株の暴落や経済破綻が起きる度に、何度も経済学には疑いの目が向けられた。

また、経済学の教科書を眺めるだけでも多くの疑問が浮かぶ。
すべての情報を知り、自分が何が欲しいかを常に理解し、自己の利益のためにのみ動く主体。
こういっった多くのありそうもない仮定から、本当に経済についての分析を進めることが可能なのか。
また、他にもっといい仮定やモデルはないのか。

経済学に対しては、下手くそな予言者、難解な数式をあやつる人たち、科学になりきれない学問、のような多くの否定的な言葉がある。
しかし、著者はそういった経済学への非難は多くの場合誤解であるという。少なくともこの4半世紀の経済学は、過去の経済学では届かなかったところまで分野を広げ、より厳密に、実証的に経済を分析できるようになったという。

その原動力となったのは、コンピュータの発達と統計的な手法を駆使した計量経済学の発展であった。
言うなれば、昔ながらの合理的な主体や完全競争のモデルは、そういった手法が使えない時代の、妥協の産物であるとみることもできる。
たとえば50年前までは国のGDPを測るための統一的なデータは存在せず、経済成長についてのデータはこの20年にやっと揃いだした。

こうして今や、妥当性が疑わしい仮定ではなく、実際のデータを統計的に分析することで、現実の経済についてよし多くのことを知ることができるようになった。

さらに経済学に社会制度の考察を含めた公共選択論、スティグリッツらによる情報の経済学や、クルーグマンの産業立地に関わる貿易理論、カーネマンらの実験経済学、さらに脳から人の選好などを測ろうとする神経経済学など、すでに多くの分野が広がっている。

この本はそういった最先端の経済学を数式なしに著したものだが、理論の紹介のみならず、その意義や影響、欠点などを含んだ総合的な記述がなされている。
数式が多い本よりもむしろ内容は濃いかもしれない。
だからこそ、一般的な経済学の教科書を読んだ後に、この本を読むのが一番いいかもしれない。

2011年10月11日火曜日

NASAのヒ素DNAから見た科学の再現性

2010年の12月、NASAが重大な発表があるとして記者会見を開きました。
ついに地球外生物の発見かと期待した人も多かったみたいですが、実際には、リンがヒ素に置き換わっているDNAを持つ細菌を発見したという発表でした。
地球外生物を期待した人は失望したかもしれませんが、この発表がもし本当なら生物学としては重大な発見でしょう。

しかしその後、多くの専門家からNASAの発表への疑いが向けられています。
NASAの行った実験が、DNAにヒ素が取り込まれていることを証明するには不完全だったからです。
例えばDNAに取り込まれたのではなく、細菌の体に取り込まれただけではないか、DNAの検出の際に、ヒ素が混じってしまったのではないかなどと疑われています。

ヒ素を取り込んだDNAは本当にあるのか。論争を終わらせるためには、第三者による再現性の検証が必要です。


しかしNatureニュースによると、この検証実験を行うラボが出てこないということが話題になっています。
その理由として、そもそもヒ素DNA疑わしいと思われているので、検証実験をしてNASAの発見が間違いだと証明しても、ほとんど評価を得られないということが挙げられています。

さらに言うと、再現性の検証にはコストと時間、テクニックが必要なので、そういったものを費やしてまで検証実験をする余裕のあるラボが今のところいないようです。


このニュースから分かることは、再現性の検証という科学にとって基本的なことには制約があるということです。
それは科学の経済的、社会的側面です。
再現性を確かめるためのコスト・時間・技術には限りがあり、検証を行って評価されるインセンティブがないと行われにくくなります。

違う言い方をすると、それらの要素は科学における再現性というものを量的に評価するための指針となるかもしれません。
ですからこれは、科学哲学で一部で使われる「科学度」に含む要素として考えることもできるかもしれません。

参考ウェブサイト:Will you take the 'arsenic-life' test?

2011年10月7日金曜日

"昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ" 藤崎 憲治 (著)  の感想

昆虫は虫であり、虫は害虫といったイメージは未だに強い。
特に僕たちの生活の中で虫というと、家の中でゴキブリが走っていたり、クモが這っているのを見ることが多く、どうしても害虫としての虫のイメージが強くなる。

「昆虫未来学」では、こういった従来の害虫観から脱して、昆虫の利用や保護、さらには昆虫を工学などの視点からリスペクトし、昆虫から学ぼうという現在の潮流を紹介している。

明治以前も虫は恐れられていたらしい。
ただし地震や台風と同じ災厄として、避けられないものだと思われていたらしい。
明治以降、化学的な殺虫剤によって、虫は害虫として排除の対象となった。
虫の専門家でさえも、虫は根絶すべきものだと思っていたようだ。

しかしDDTの環境への影響を示唆する「沈黙の春」以降、殺虫剤の環境への負荷とともに、虫の環境への貢献が認識されてきた。
さらにここ最近では、「バイオミミクリー」といって、材料や工学の分野から見て、昆虫たちの体が持つ特性から学ぼうという動きが出てきている。

たとえばクモの糸の強度は、人間の作るナイロンよりも二倍も強く、これを真似ることで今までよりも便利な繊維を作ることができるかもしれない。

塔のようにせり上がったアリの塚は、室温と風通りなどの良い空調機能を持っている。
これを応用した建物が作られているらしい。

コガネムシのように光沢のある昆虫の中には、蛍光や光の吸収からの色ではなく、光の波長をよい具合に反射する微細な構造によって、反射からの色づけがされているらしい。 これを応用して、色あせしない色素材料を作ることもできる。

全体としてインフォマティブな内容なので、文学的な意味の感想はありませんが、テーマにしたがってよくまとまっていて読みやすく、昆虫について包括的に学べる本だと思いました。

2011年10月6日木曜日

科学は捏造を防げるか、再現性の問題。

科学にとって、再現性があるかどうかは重要な問題です。

たとえば超心理学のように学会を持ったり実験をするような組織があったとしても、再現性がないという理由で科学とは見なされません。

再現性がなぜ必要か。
一番大きな理由は、第三者が検証できるようにするためです。

しかし実際の科学では、第三者による再現実験というものはほとんど行われていません。
たとえば科学論文を発表するときには、査読者が論文の中身をチェックしますが、一般的に再現性実験はしないで雑誌に載せられるかどうかを判断します。

ではどういったときに再現性の検証をするかというと、従来考えてきた理論を大きく覆すような結果が発表されたときです。
それ以外の場合だと同じ専門分野の人が同じ実験を行うことで、間接的に再現性のチェックになることもあります。

でも逆に言うと、従来の理論に沿った結果で、同じ専門分野の人が自分と同様の実験をしないならば、データ捏造を行うことができるかもしれません。

たとえばヘンドリック・シェーンという物理学者は、超伝導という物理学の分野でデータ捏造をして、最終的にそれがバレました。

超伝導という現象は、ふつうは温度が極端に低くないと起きないのですが、もっともっと高い温度で超伝導を実現しようという学問的な競争があります。
その競争の中で、いかに高温超伝導を行うかの実験技術が伏せられたり、実験データが出るのは実験者の高度なテクニックのおかげということで、他人は容易に実験を再現できないということが、捏造の隠れ蓑になっていたようです。

さらに言うと、高い温度での超伝導はいずれ誰かが成し遂げるだろうという意味で、従来の理論に沿ったもののようです。

つまり上で書いたような、再現性の検証ができない状況で捏造が行われた可能性があります。

しかし実際には、彼の実験の知識が未熟であったり、またデータ捏造の仕方があまりにもお粗末で、違う実験のはずなのに同じデータが使われたり、データのつぎはぎをしていたので、そういった所から彼の捏造が発覚したようです。

逆に言うと、もし彼がそんなヘマをせずに用意周到に捏造していれば、バレることはなかったのかもしれない。

もしそうなら、再現性というものをいかに確保するか。
もしくは再現性の検証ができない場合に、他の方法でいかに科学の信頼性を保つか、ということが科学にとって重要な問題だと思います。

2011年10月3日月曜日

2011年度ノーベル生理学・医学賞は免疫メカニズムの解明 審良静男は受賞枠外

今日発表された2011年度ノーベル生理学・医学賞は免疫メカニズムを解明した3名に決まったみたいですね。

Jules HoffmannとBruce Beutlerは体に入った微生物を認識する、TollタンパクとToll様受容体(TLR)の発見および機能の解明。Ralph Steinmanは樹状細胞がT細胞化活性化することを発見した功績が認められて、受賞したらしい。

TLRは動物だけでなく、下等植物のコケでも遺伝子が見つかっていて、生き物が体外の微生物などを認識するのに、かなり広く昔から使われてるようです。

さらにTLRは種類によって、DNA、RNA、微生物の外殻などたくさんのものを認識します。病原体がたくさん持っているDNA配列を見分けるなど、センサーとしてかなり広範な範囲をカバーしているようです。

今回のノーベル賞に日本人は入ってなかったみたいですが、この受賞にふさわしいはずの日本人がいます。
上記のTLRについては、日本人の審良静男さんも大きな功績があります。

彼はTLRの機能について次々と発見して、「世界で最も注目された研究者ランキング」で、2004年度に第8位、2005年、2006年度は第1位、2007年度にも第4位に選ばれているらしい。(wiki

今月の日経サイエンスでも審良静男さんの記事があったのですが、とにかくノックアウトマウスを作りまくって手当たり次第に遺伝子の機能を調べるような探索型の手法を取っていて、なんでも先に発表したほうが勝ちという国際的な研究の競争にたけているようです。
反面9時出勤で5時には帰宅するなど、生命科学者としては例外的に、すごく効率がいい働き方をしているらしい。

今回受賞できなかったのは残念ですが、日本人にもすごい人がいるのですね。

2011年10月1日土曜日

『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のCG撮影技術がすごいらしい。

映画「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」って10月7日公開なんですね。
CMでちょっと見ただけだと、リアルな猿のCGだなという印象だけしかなかった。

youtubeでこの映画のメイキングを見たところ、ロケでも使えるモーションキャプチャーで撮影した初めての映画らしい。



映画「アバター」なんかはすごいCGだけど、室内スタジオで人間の動きをキャプチャーしていた。だから背景も全部CGとかで作らないといけなかった。
でも今回の映画はポインタを体に付けた人がロケで演技することで、その動きをCGに取り込めるってことらしい。
メイキングを見てるとCGモーション担当の役者以外は、実写で普通に撮影してる。

これが映画をどう変えるかを考えてみる。

・たとえばスタジオでのモーションCGだと、やっぱり本物が見えないから、演技も変だったりする。CGの怪物を見て驚いてるのに、目線が怪物を向いてなかったりとか、驚きが嘘くさいとか、よくある。

今回の野外モーションキャプチャーなら、背景も小道具も役者も実際にそこに存在するから、演技としてはしやすいだろうね。

・人間じゃなくても、コンピュータで作りづらい複雑な動きをするものにも使えそうだけど、何があるかな。やっぱりライオンとかイルカとか動物かな。

・野外で使えるって事は、小道具とか衣装をCGで処理することが楽になるかもしれない。

・ただし、人間より小さいものとか、背景にギャップが出来てしまうものの場合、その隙間をどうやって埋めるのかが気になる。 もしCGで背景の隙間を埋めるとしたら、それは大変なんじゃないかな。


いずれにせよ、CGだけじゃなくてストーリーも気になる映画。